近年、お年寄りや高齢者の間で大人気の「棒サッカー」ですが、普段はあまり馴染みがないもの。
ここではそんな棒サッカーとはどんなスポーツなのか。その概要やルール、実際に運動になるのか、お年寄りや高齢者に人気の理由などについて探って行きたいと思います。
棒サッカーってどんなスポーツ?
棒サッカーは元々、高齢者施設などで行われていたレクリエーションです。それを大阪府にある高齢者施設がルールを作り、スポーツとして確立させたのがはじまり。
動画を見ても白熱ぶりがうかがえます。
「日本棒サッカー協会」が設立されたのは2013年なので、実はまだ成立して年の浅いスポーツなんですね。
チームは各11人
棒サッカーのチームは各11人、チーム対抗形式で行います。
それぞれのチームが細長い長方形のコートを挟んで、向き合うように並び、椅子に座っておこなうのが特徴。
「棒」サッカーとあるように、棒を使ってコートの端のゴール目指してボールを運ぶスポーツです。
コートには人工芝を張り、ボールもサッカーと似たデザインのものを、棒はクッション材を巻いた60cmのものを使用します。
お年寄り・高齢者に人気のワケ
棒サッカーは2013年から徐々に参加者が増え、いまや全国大会も開催される程に大人気、お年寄りや高齢者に親しまれています。
棒サッカーが人気の理由 |
|
2018年で全国大会は6回目。
棒サッカーの一番の特徴は「座っておこなわれること」です。
座っておこなう棒サッカー
棒サッカーは座って行うため、要介護者や車いすのお年寄りも気軽に参加できるのが人気の理由です。
手だけを動かしているように見えますが、棒を振るのに両足を踏ん張ったり、頭を使ったりする、れっきとしたスポーツなのです。
たくさんの人が参加できる
棒サッカーは1チーム11人、チーム対抗ということもあり、一試合にたくさんの人が必要です。
「サッカー」という認知度の高いスポーツがもとになっているのでルールも単純で親しみやすいのも大きいですね。
認知症の方も参加できるよう、分かりやすい色を採用されるほか、椅子にベルトを設置され、より多くの高齢者やお年寄りが楽しめるよう工夫がなされています。
試合時間は短め
試合時間は前半3分+後半3分+休憩1分 |
ほかのスポーツと比べて短めで一試合10分以内で終えられます。これも高齢者に人気の理由の一つかもしれません。
一試合終わってもくたびれないというのも普及を後押ししました。
そのうえで短時間でも自分の役割をおこなうことに集中すると達成感もあって適度な運動になります。
チーム内の役割分担がカギに
傍から見ると棒サッカーは座っているため簡単そうに見えるかもしれません。
しかし実際にはチーム内の役割分担や作戦等が勝負を分ける鍵になり、戦略性の高いスポーツになります。
中心部分やゴール付近に誰を置くか、実力によって配置も変わってきます。
棒サッカーの効果
高齢者に大人気の棒サッカー。
スポーツといえば体を動かして健康になるという効果がありますが、勿論棒サッカーも例外ではありません。
棒サッカーの効果は「動体視力」「反射神経」、そして「集中力」が高まる、
そして何より盛り上がって元気になるところにあります!
動体視力と反射神経、集中力
棒サッカーは当然、試合中ずっとボールを目で追うことになります。
棒で押されてさまざまな動きをするボールを見続けるには集中力が必要ですし、近くに来たら棒を動かす為に動体視力・反射神経が必要。
自分の動きが勝敗を左右する、なんてことも少なくないので一人ひとりの責任も重大です。
身体機能の維持
棒サッカーをおこなうためには手や腕を動かすほか、足を踏ん張ります。
特に棒でボールを打つ時には、車いすであっても相手チームの棒に打ち負けないようしっかり足を踏ん張り、足・腰まわりの筋肉を使うので身体機能の維持や機能向上につながります。
チームプレイということもあって、「勝つためにがんばろう」という気持ちになれるのが棒サッカーのいいところ。
盛り上がる、元気になる
棒サッカーはチームスポーツ。
チームメイトと協力し、戦略を考え、勝ったり負けたり、喜怒哀楽があります。
団体スポーツのいいところは皆でわいわい盛り上がること。負けたらやっぱり悔しいし、勝ったら皆で喜んで、目標があると表情も自然と明るくなります。
試合中も「そこそこ」「行け」などのかけ声が飛び交います。時に喧嘩になってしまうこともありますが、お年寄りになってもそれだけ熱くなれるのは真剣勝負のあかしです。
元気になる。これがスポーツ・棒サッカーの何より大事なことですよね。
棒サッカー協会の理念も
「挑戦が日本を元気にする」 <100歳を越えても、要支援・要介護状態になってもハンディキャップを有しても続けられる生涯ユニバーサルスポーツ「棒サッカー」> |
を掲げています。
棒サッカーのルール
1チーム11人でチーム対抗で行います。
試合時間は前半3分・後半3分・休憩(ハーフタイム1分)の計7分が基本。試合が決まらない場合は延長戦として1分間おこなわれます。
チーム
大会では1チーム11人、補欠も含め最大15人までで1名のキャプテンが基本。競技者の交代も可です。
試合・得点
キャプテンがじゃんけんで先攻後攻を決め、勝った方がセンターサークルにおいたボールに触ってゲーム開始。
(ファーストタッチ:サッカーのキックオフと似ていますね)
それぞれのゴールに向かってコートのボールを打ち合い、ゴールにボールを押し込めば得点になります。
反則行為
反則行為をすればイエローカード・レッドカード・退場になります。
必要な用具
棒サッカーで必要なのは以下の用具です。
|
また協会指定で以下の物も必要です。
|
ボール
棒サッカーボール。普通のサッカーボールと似たデザインでやや小さめ。
棒
棒サッカーの棒はクッション材をつけた60cmのものを使用します。協会指定の色は赤・青・緑・黄の4色。
座るもの
通常、棒サッカーは椅子に座って行います。
足元にはストッパーを置く、椅子にベルトを巻くなど転落・怪我防止も必要です。
手袋
棒をしっかり掴めるように滑り止め付きのものが必須。軍手もOKです。
靴
しっかり踏ん張れるように、転倒しないようにかかとに滑り止めがついた靴が推奨されています。
ユニフォーム
大会に出る際は2019年度から協会が定めた規格のビブスを着用必須になりました。
デザインヤカラーの規格はなく、背番号は00-99です。
施設でおこなう時は
元々はレクリエーションでおこなわれていたということもあり、施設で行うこともあるでしょう。
しかし棒サッカーは盛り上がる分、白熱して喧嘩が勃発することもしばしば。
椅子からの転倒・転落のリスクもかなり高く、注意が必要です。
足元にストッパーを置いたり、施設独自のルールを定めたりして事故が起きないよう細心の注意を払いましょう。
おわりに
最近人気の棒サッカーについてみてきました。
白熱するあまり転倒転落などの危険もありますが、ルールを守れば盛り上がること間違いなし。
高齢者やお年寄りでも、他の人でも楽しめる親しみやすいスポーツです。ルールも比較的単純なので今後ますます人気が広まることに期待ですね。