もちもちの食感の和菓子によく使われる「求肥(ぎゅうひ)」
雪見だいふくや練り切りに用いられますが、同じ食感の餅と求肥の違いは何か、ご存知ですか?
今回は求肥とお餅の違いについて、そもそも牛人は何なのかということについて見ていきます!
求肥と餅の違い
見た目が似ているからか求肥と餅の違いはわかりにくいですよね。
実際、2つとももち米から作られてはいるのですが、大きく違うのは「作り方」です。
作り方の違い
求肥とお餅の作り方はそれぞれ下のようになっています。
- お餅
もち米を蒸す→つく - 求肥
もち米を粉に→水と砂糖を足す→火にかけ練る
並べてみると違いが良くわかります。
餅はそのままもち米を蒸してつくだけなのに対し、求肥はもち米を粉にして、水と砂糖(水飴のことも)を足し、さらに火にかけます。
砂糖や水飴を使うだけあって、求肥はお餅と違い、甘いですよね。
ちなみに求肥の作り方はさらに水練り・ゆで練り・蒸し練りの3つがあり、砂糖や水飴の比率を変えるなど同じ求肥でもさまざまに違います。
「砂糖」が入ってるかどうか
作り方の違いをみてわかるように、求肥には砂糖が入っています。
場合にもよりますが、求肥にはもち米の2倍の砂糖が使用されるので、味が甘くなるほか、かたくなりにくいという特徴を持ちます。
なぜなら、砂糖が保水性を持っているからです。
お餅は冷めると固くなってしまい、食べるには焼いたり煮たりする必要がありますよね。
しかし、求肥を使った和菓子は冷めてからもやわらかく、加熱せずそのまま食べることができます。
この点が、お餅と求肥の大きな違いであり、求肥がよく和菓子に用いられる理由でもあります。
そもそも求肥とは?
和菓子によく使われる求肥(ぎゅうひ)ですが、その名前も漢字も特徴的ですよね。
そもそも、求肥とはどんなものなんでしょうか。
求肥の由来
求肥は平安時代に中国の「牛碑」が日本に伝わったものだといわれています。
はじめは日本でも「牛皮飴」「牛皮餅」と呼ばれていたそうです。
理由は「牛の皮のように柔らかい」、あるいは黒砂糖や赤砂糖・玄米を使ったために色が黒っぽく「牛の皮に似ていた」ためとのこと。
ただし、当時は牛や豚などの肉が禁じられていたため「牛」という名を嫌い、「求肥」という漢字に変えた、という説が有力です。
(このほか、餅と違い長期保存食として有効として江戸時代の上杉家が命名したという説もあります)
求肥の保存について
お餅と違って時間がたっても固くなりにくい求肥ですが、生モノなのでやはり早めに食べるようにしましょう。
具体的には1週間ほどの賞味期限が多く、それ以上保存したい場合には冷凍保存をします。
雪見だいふくを見てもわかるように、求肥は冷凍しても美味しくいただくことができます。
作り方について
お餅と比べると少し手間がかかっているように見える求肥。
でも作るのはそんなに難しいというわけではありません。
用意するのは
もち粉(白玉粉)[5]と砂糖[8]・水[10]、
それに仕上げに片栗粉です。([]は比率)
作り方は簡単に書くと、
- もち粉に水を加えながらかきまぜる
- 砂糖を加えてさらにまぜる
- 電子レンジ(600W)で2分加熱
- ぬらした木杓子で混ぜ、1分加熱
- 半透明&つやが出たら片栗粉をまぶして完成
くわしい求肥の作り方は(http://cookpad.com/recipe/336073)などクックパッドにもたくさんのっています。
求肥を用いた和菓子
お餅と違い固くならないので、和菓子によく用いられる求肥は、基本的には常温や低温でいただく和菓子に用いられていますね。
求肥を用いたお菓子は大きく分けると、下のようなパターンに分かれます。
- 求肥を作る時に食材を練り込む
(きびだんご・すあま等) - 求肥で餡を包む
(大福・練り切り等) - 求肥を作る時に水あめを加える
(朝鮮飴・ゆべし等) - 求肥をはさんだもの(若あゆ等)
- アイスなどを求肥で包んだもの
(雪見だいふく等)
このほかにも、さまざまな使われ方がなされますね。それだけ、求肥は和菓子作りには欠かせないものなのです。
求肥を用いた和菓子でよく知られているものは下のようなものになります。
- 大福
- 羽二重餅
- きびだんご
- すあま
- 信玄餅
- 八つ橋
- うぐいす餅
- ゆべし
- 兵六餅
- ボンタンアメ
- 菱葩餅
- みつまめ
こうして見ると、誰もが一度は口にしていそうですね。
終わりに
求肥とお餅の違いやそもそも求肥とは?、ということについて見てきました。
求肥とお餅は味も使い方も作り方もまったく違いますが、食べるだけだとどうにも似たようなものに感じられてしまいますよね。
これから求肥を食べる時には少し気にしてみてはいかがでしょうか。
以上、求肥についてでした!