先日「700MHz利用推進協会」というところのチラシが投函されていました。うちの近所はあまりこういったチラシを見ないので珍しいと思いつつ、NHK関連か詐欺か何かかかな? なんて思ったり。
今回はこの「700MHz利用推進協会」とは何か、チラシの解説やマンション・NHKとの関係等についてご紹介します。
ちなみに結論だけ先に書くと、詐欺ではなくNHK受信料関連でもありません。しっかりした(?)一般社団法人で、総務省の認可を得た活動です。
お金を取られることもないので不安になる必要はないです。
700MHz利用推進委員会とは
一般社団法人 700MHz利用推進委員会とは「NEXT! 700MHz」というプロジェクトの推進のために設立された一般社団法人です。
チラシにもあるように携帯電話事業者4社(docomo、KDDI、au沖縄セルラー、SoftBank)が合同で設立しています。
この4社のうちのどこかを利用している人も多いのではないでしょうか。
この一般社団法人は総務省の認可を得たしっかりした組織です。詐欺でもなければ怪しくもありません。
上に書いたように「NEXT! 700MHz」プロジェクトを推進しています。
どういうプロジェクト?
NEXT! 700MHzとは 空いている電波帯(700MHz帯)をケータイ・スマートフォンで利用できるように推進していくプロジェクト。 |
今まで携帯電話やスマートフォンは800MHz帯を使用していましたが、これからは700MHz帯を利用するようになります。
その影響を調査・確認し、必要なら対策のために工事をする、という活動です。
700MHz帯を使えるようになると
いずれ携帯・スマートフォンの通信に700MHz帯を使えるようになって行く予定です。
そうなると通信の品質が上がる、つまりスマートフォンの通信が繋がりやすくなる、かもしれないということです。これはとても嬉しいですね!
近年のスマートフォンの急激な普及によるデータ通信料の増加は、通信速度低下(つながりにくさ)を招きました。それを解決しようという動きです。
(初めてスマホを手にした八年前は通信制限がなかったので、このプロジェクトを終えればもしかしたらゆくゆくは通信制限が緩くなる、かも?)
そのほか、700メガヘルツ帯は800メガヘルツ帯よりも障害(壁や雨)に強くなるそうです。
何かすべきことはある?
総務省のホームページによると、700MHz利用推進協会のチラシは現在のところ以下の2種類があります。
少し見づらいですが、この記事の冒頭の画像が一枚目と同じものです。
一枚目(チラシ2-2)は「テレビに影響が出るおそれのある地域にお住まいの方」、二枚目(チラシ1)は「事前対策工事が必要な地域のお住まいの方」用のものです。
二枚目(チラシ1)が届いた場合には
二枚目は事前対策工事必須なので、対策工事を行う場合があります。
工事は2~3時間ほどかかるそうです。
総務省のHPや700MHz利用推進協会のチラシにも明示していますが、対策工事にかかわる費用は700MHz利用推進協会負担であり、費用請求は一切ありません。
もしも工事費用を請求されたり、何かを買わされそうになったりしたらそれは詐欺です。ご注意ください。
一枚目(チラシ2-2)が届いた場合には
一枚目の裏面には以下のようにあります(一部ぼかしています)。
書かれている日付以降、試験を行ってその家のテレビ機器がゆくゆく、携帯各社が700MHz帯を使用した場合に影響が出るかどうかを確認します。
場合によっては映像が乱れたり、全く映らなくなってしまいます。その場合には700MHz利用推進協会のチラシには「コールセンターに電話する」ように書かれています。
コールセンターに電話をすると、映像の乱れやテレビが映らなくなった時間帯などを聞かれ、必要ならば対策工事の工事作業者が訪問します。
アンテナや受信ブースターの工事(フィルター取り付け・ブースター交換等)をおこなうとのこと。
ちなみにBS放送・CS放送は影響なく視聴でき、ケーブルテレビ・光ケーブルも影響なしです。
マンション住まいの場合は?
マンションやアパートに住んでいる場合はどうしたらいいか?
これはあくまでそのマンションによりけりですが、マンションの屋上にアンテナが設置されている場合にはそのアンテナが工事の対象になると思います。
映像の乱れ→コールセンターに電話したあとは、戸別に実際にテレビ映像・機器を確認し、残りは管理人さんなどとともにアンテナ工事なるのでは、と。
実際におこなったわけではないので予測になりますが……。
マンション住みの場合は住人の誰かが報告してくれれば、マンション一括での対策になりそうです。
NHKとの関係
テレビの戸別訪問というと「NHK関連……?」と疑ってしまうかもしれません。
一応賛助会員名簿に「NHK営業サービス株式会社」「株式会社NHKアイテック」の名前があり、実際の工事もNHKアイテックを名乗る工事作業員が来ることもあるとのこと。
ですが一応この工事に関連してNHK受信料の請求などをされたというはなしは聞きません。そういうことをすると、このプロジェクト自体円滑に進まなくなってしまいますから、ひとまずは安心していい、のではないでしょうか。
なんで今、700MHz帯?
テレビ放送は現在、13~52chに割り振り、710MHz以下の帯域を放送しています。
そのため今はあいている(地デジ前にはテレビで使用していた)718MHz以上(キャリアごとに718、728、738MHz)をスマホ・ケータイの通信に新たに使用する予定なのです。
NEXT!700MHzとは正しくは「718MHz以上の電波帯の推進」なんですね。
そのほか、携帯の基地局用にかつてFPU・特定ラジオマイクの電波帯だった770MHz以上も同時に周波数再編がおこなわれています。
テレビに影響がある理由
現在のテレビ放送は地上デジタルテレビ。
その前、かつてのテレビ放送は710MHz以上(53-62ch)も使用していました。
そのため古いアンテナ・ブースターを使用している場合にはかつての電波を拾ってしまい、テレビが映らなくなってしまう可能性があります。
対象になる人はスマホ・ケータイの700MHz帯を利用する地域にお住まいで、テレビアンテナ・ブースターで地デジを視聴中の人です。
いつから700MHz帯を使用する?
700MHz利用推進協会は2012年設立、こうした工事は2017年ごろから各地域ごとにおこなわれています。
かつてはこうした電波帯再編には10年ほどかかっていたそうですが、2011年に電波法が一部改正されたため、移行期間は10年以下に短縮できる見込みです。
で、一体いつから700MHz帯がスマホ・ケータイ通信に使われるかというと遅くても2026年ごろ、実際にはもっと早い時期、ということしかわかりませんでした。
できればはやく移行が完了してスマホ通信がスムーズになってほしいですね。
終わりに
700MHz利用推進協会のチラシについて、詐欺や悪徳業者ではないよということを見てきました。
過去には以下の種類のチラシが配られていました。左下のものなど脅迫するかの文言で「怪しい」と感じた人が多かったそうです。
工事作業はすべて無償でおこないます。なので費用請求された場合には700MHz利用推進協会を騙る詐欺である場合もあるので注意して下さい。
以上、700MHz利用推進協会についてでした。
参考サイト
総務省(700MHz帯を使用する携帯電話基地局の開設に伴うテレビ受信障害対策について):http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/89300.html
700MHz利用推進協会:http://www.700afp.jp/