夜の蜘蛛が縁起がいい・不吉?意味と殺さないか殺すかについて

意味と語源

夜や朝の蜘蛛については縁起がいいやら不吉やらというはなしがありますよね。

今回は、夜の蜘蛛が縁起がいいやら不吉やら言われる理由と、夜の蜘蛛を殺すか殺さないか、ということについて見ていきます。

 

夜の蜘蛛は不吉?縁起がいい?

基本的に、夜の蜘蛛は不吉、朝の蜘蛛は縁起がいいとよく言われます。

ただし、その意味についてははっきりわかっておらず、地域の迷信や言い伝えがほとんどです。

夜の蜘蛛・朝の蜘蛛の言い伝えいろいろ

朝や夜の蜘蛛については下のように色々な言い伝えがあります。

「朝の蜘蛛は殺すな、
夜の蜘蛛は殺せ」

「朝の蜘蛛は福がくる、
夜の蜘蛛は盗人が来る」

「朝のクモは神の使い、
夜のクモは悪魔の使い」

「朝の蜘蛛は敵でも殺すな、
夜の蜘蛛は親でも殺せ」

「朝のクモは金運が上がる、
夜のクモは盗まれる」
(朝はお客さんを呼び、夜は泥棒を呼ぶ)

意味は土地によって、商売に関することだったり、神・悪魔だったりとバリエーションがありますね。

ただし共通しているのは「朝は縁起がいい」「夜は不吉」ということ。

さらに夜の蜘蛛について見てみましょう。

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夜の蜘蛛はなぜ不吉?

夜の蜘蛛が不吉、殺せ!、と言われてしまう理由としては下のような言い伝えがあります。

  • 「食わず女房」という昔話
  • 日本書紀の言い伝え
  • 見た目が不気味
  • 夜だから

それぞれについて、意味や内容を見ていきましょう。

「食わず女房」と夜の蜘蛛

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食わず女房という昔話では頭の後ろに口がある「クモ女房」というやまんばが登場します。

この話の終盤で、この女房が夜に、クモの姿になって、いろりの上の自在かぎをつたい、男を食べにきます。

このように、夜に蜘蛛が男を食べにくるというシーンから、夜の蜘蛛=不吉なイメージがあります。

あるいは、夜の蜘蛛が不吉なゆえに、こんな昔話が生まれたのかもしれませんね。

「日本書紀」によると…

日本の古い書物・日本書紀にも、夜の蜘蛛についての記述があります。

そこでは、クモの行動を天皇来訪の前兆と見ていたり、上に書いたような、夜グモを「盗人の先走り」といったりしています。

少なくとも、夜の蜘蛛は縁起が良くない、不吉とする考え方はかなり昔からあるようです。

見た目が不気味

単純に、夜の蜘蛛は見た目が不気味だから「不吉」といわれるという説もあります。

まず見た目がグロテスク、薄暗い場所に潜み、巣を張り巡らして待ち伏せする、などなど。

糸を使って下りてくる夜の蜘蛛の姿に泥棒を連想したのかもしれません。

外国の一部では日本以上に蜘蛛は嫌われ者。

見た目が不気味だから夜の蜘蛛は特に不吉に見られた、というのもありそうな話です。

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「夜」の蜘蛛だから

これを言ってしまうと身も蓋もないですが、「夜」だから夜の蜘蛛は殺す、という説も。

夜に関する言い伝えは不吉なものが多く、夜の蜘蛛もその系列のひとつというのです。

例えば「夜に爪を切ると親の死に目にあえない」など。

蜘蛛に限らず、夜を不吉とするのは、夜に現れる神への畏怖が、いつ間にか恐怖へと変わったと言われています。

 

反対に朝の蜘蛛は…

夜の蜘蛛とは反対に、朝の蜘蛛は縁起がいいものとみられ、殺さないようにいわれます。

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朝の蜘蛛を縁起が良いとする言い伝えは下のようなもの。

  • 朝、蜘蛛が下がれば客が来る
  • 待ち人を引き寄せる
  • その日が晴れる

特に、朝に蜘蛛が出るとその日は天気が良くなる、とよく言われます。

天気が良くなると農作業がはかどり、気持ちいい日になるとのこと。

朝の蜘蛛は縁起が良いといわれることがおおいそうです。

むしろ朝=縁起が良いからこそ、夜=縁起が悪い、とされてしまったのかもしれません。

また、夜であっても朝であっても、どんな蜘蛛でも縁起が良いとする地域もあるそうです。

(鹿児島では蜘蛛を「こぶ」と呼ぶので、夜に出る蜘蛛は「ヨルコブ→よろこぶ」とすることも)

 

夜の蜘蛛は殺す?殺さない?

さて、このように不吉で縁起が良くないと言われる夜の蜘蛛。

「親でも殺す!」と言われる夜の蜘蛛ですが、実際には殺した方がいいのかどうか。

結論から言うと、夜の蜘蛛でも殺さない、という人が多いようです。

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蜘蛛は実は「益虫」

不気味な外見から嫌われやすい夜の蜘蛛ですが、実は人間にとって害をなす虫ではありません。

むしろ、害虫(ダニ、ハエ、蚊、ゴキブリ)を食べてくれる益虫で、人間をかむこともほとんどありません。

そういう意味で、蜘蛛は人間にとってとてもありがたい虫なのです。

夜でも朝でも、蜘蛛を殺しても別に良いことはないようなので、気にならないのなら放っておいてもよいでしょう。

蜘蛛が嫌いなら、殺さないで窓から外に出してあげるとよいですよ。

外国では

ちなみに、外国でも蜘蛛にまつわる言い伝えは色々あります。

ネイティブアメリカでは「ドリームキャッチャー」という、蜘蛛の巣をモチーフにしたお守りがあります。

悪い夢は蜘蛛の巣にひっかかり、よい夢は蜘蛛の巣をすりぬける、ということらしいえす。

フランスでは「朝の蜘蛛は悲哀、夜の蜘蛛は希望」ということわざがあるそう。

これらを見ても、夜の蜘蛛が不吉か縁起が良いかはいろいろなようです。

 

終わりに

夜の蜘蛛について色々な言い伝えや意味、殺すか殺さないかということについて見てきました。

夜は暗さや見た目もあいまって、蜘蛛が特に不気味に見えてしまいます。

縁起が悪いなんて言われがちですが、蜘蛛が直接人間に危害を加えることはありません。

戸締りや火のもとに注意するとして、夜の蜘蛛を不吉だからと言って殺す必要はないといえますよ。

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