四合瓶の読み方は「しごうびん」「よんごうびん」のどっち?

意味と語源

720mlのお酒、特に焼酎や日本酒の瓶は「四合瓶」と書かれますが、読み方がいまいちあいまいですよね。

今回は、四合瓶の読み方は「しごうびん」なのか「よんごうびん」なのか、ということについてみていきます。

 

「四合瓶」読み方は…

720mlのお酒「四合瓶」の読み方。

結論だけ先に言うとどちらの読み方でも、たいていは通じます。

ただし、「よんごうびん」という読み方が正しいという意見が多いようです。

特に客商売の場合や祝い事・法事・接待などの場面では「しごうびん」は「し(=死)」という音を含むため、好まれません。

ただし、お酒屋さんの間では「しごうびん」と呼ばれることも多いようです。

どちらでも構わない、と言ってしまえばそれまでですが、さらに詳しく見てみましょう。

1320

「よんごうびん」派の意見

お酒720mlの瓶・四合瓶は「よんごうびん」と読む人のほうがやや多いようです。

理由としては下のようなもの。

  • 「しごうびん」は「死」を含むため。
  • 「しごうびん」は「尿瓶(しびん)」に似ている。

特に、お祝い事や法事、接待の場面では「」という言葉が入るため不適切、と考える人が多いですね。

めでたい場面で「し」ではなく「よん」と言い換えるものといえば、四段重ねの「四の重(=与の重・よのじゅう)」などがあります。

客商売やめでたい場面などでは念のため、「よんごうびん」とよんだほうが安心かもしれませんね。

1452

「しごうびん」派の意見

720mlの瓶について、「しごうびん」と読む人も決して少なくはありません。

むしろお酒やさんなどでは「しごうびん」がメジャーだったりします。

「しごうびん」派の理由は下のようなもの。

  • お酒やさんがそう言うから。
  • 「四斗樽」も「しとだる」と読むため。
  • 「一日玄米しごうと、…」(宮沢賢治の「雨にも負けず」より)

戦前の宮沢賢治は「四合」を「しごう」と読んでいたようですね。

また、「四斗樽」も「しとだる」と読むため、「四合瓶=しごうびん」という考え方もあります。

このほか、酒屋がよく言うから、「よん」より「し」のほうがかっこいいから、という理由もあります。

1469

どっちの読み方が正しい?

初めに書いたように、四合瓶の読み方はどちらが正しいということはありません。

そもそも四を「よん」「し」のどちらで読むかは、前後の文脈で言いやすいかが基準です。

たとえば四十歳は「よんじゅっさい」で「しじゅうさい」とは読みません。

でも、赤穂義士の四十七士は「しじゅうしちし」と読むのが普通ですよね。

よんは「ひぃ、ふ、み、よ」、しは「いち、に、さん、し」という数え方から来ていて、江戸時代は「ひふみよ」のほうが一般的だったんだとか。

なので、四合瓶を「よんごう」と読むか「しごう」と読むかは厳密な決まりはありません。

ただし高級なお店や祝い事、接待などの場面では念のため、「よんごうびん」と読んでおいたほうが無難かもしれません。

ちなみにお酒屋さんではほかに720mlなので「ななにー」と呼ぶこともあるそうです。

 

なぜ四合瓶は「四合」なのか

1440

さて、読み方について書いてきました。

ところで、なぜお酒の瓶は「四合」と中途半端なのか、気になったことはありませんか?

一升瓶は「1升=10合」とおさまりがよいので、どうせならその下は5合じゃないか、とも思いますよね。

実はこれにはいくつかの説があります。

「1盃」という考え方から

江戸時代の少し前からの「1盃(いっぱい)」という考え方がもとになっている説があります。

よく、日本酒に限らずお酒を飲みに行くとき、「一杯やろう」といいますよね。

この「一杯」はもとは「一盃」を指していて、これが約4合。

そのため、昔は「いっぱいやろうか」というと「4合ほど飲もうか」という意味だったとか。

他サイトには下のような記述もありました。

豊臣秀吉が太閤検地で決めた度量衡の京枡 (きょうます)は、どうもその1杯が1盃であり、4合(720ml)ほどであったらしい。
(http://jack8.at.webry.info/201112/article_3.html)

その証拠に、外国で売っているワインは750mlで、日本だけが720mlの瓶が一般的なんだそうです。

西洋は12進数だから

このほか、西洋の考えからきているという説もあります。

日本では昔から容量をはかるため、10合=1升という考え方を用いてきました。

ただし、西洋では1㏄といった単位のほか、ものをはかるときには12進数で考えます。

たとえば1ダースは12、1グロスは12ダース=144という感じ。

そして、西洋のお酒(主にワイン)は5グロス=720ml

で、この720mlが日本の単位でいうところの4合とぴったりだったため、これがメジャーになったという説があります。

 

終わりに

四合瓶の読み方と、四合瓶の由来についてみてきました。

普段からお酒を飲む人にとって見れば常識のようなお話かもしれませんが、意外と知られていないことですよね。

特に、四合瓶を何と読むか、恥をかきたくないという人も多いかもしれませんね。

心配な場合にはいっそ「720mlの瓶で」と言ってしまってもよいかもしれませんね。

最近よく読まれているページ